中国特許法第三次改正の動き

 

  2006 年 8 月 11 日 、中国国家知識産権局は中国特許法(特許法)の第三次法改正案「専利法修訂草案」を公表した。 2006 年 8 月 30 日 までに社会一般から意見を聞取することになっている。本改正案は今年度中に国務院法制弁公室に、また 2007 年に全人代の常務委員会への提出を目指しているという。

  上記改正案の主な内容は以下の通りである。

1.職務発明の範囲を縮小された。企業に与えられた職務及び企業のノウホウを利用して完成した発明、考案又は意匠のみ職務発明になる。

2.譲渡許可制に基づく「特許出願権」と異なり、「特許を出願する権利」は自由に譲渡可能な一種の民法上の権利であることを明確にした。

3.特許侵害賠償訴訟の法定裁量額の最高額を 50 万人民元から 100 万人民元に引き上げた。

4.特許行政管理機関が特許侵害訴訟を処理する場合の行政権限を強化し、また、同一の侵害者が再び同一の特許権を侵害する行為につき、行政処罰措置の加重規定を設けた。

5.権利濫用の規定を新設した。

6.実用新案侵害訴訟又は意匠権侵害訴訟を提起する際、検索報告書の提出を義務付けるとする規定を設けた。

7.中国で完成された発明を権利化する場合、最初に中国で出願することを全ての企業に義務付ける。現行法ではこの義務を中国企業に限定している。

8.従来技術の範囲に関し、「絶対新規性」への移行を盛り込まれた。

9.遺伝子資源の獲得と利用に係わる発明につき、その出所を示さなければならないとの規定を新設する。

10.公共の健康に関わる特許権の裁定実施(強制許可)の範囲が拡大された。

11.均等論、包帯禁反言、公知技術の抗弁など、司法実務で採用された原則または判定基準を特許法に導入する。

  以上を総じて、今回の特許法改正は、イノベーションへのインセンティブの創出(権利の帰属に関する改正及び職務発明の報奨金制度の強化など)、行政及び司法による保護の強化、国際条約及び国際慣行との協調(絶対新規性)など、内容が多岐にわたっており、中国の特許制度の構築及び特許実務に大きな影響をもたらすと思われる。

2006 年 8 月 18 日